カネイワ醤油本店の話

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醤油を紀州和歌山の素材だけで造る

黒豆それは偶然の出会いでした。
ある日、カネイワ醤油本店にある人の紹介で一つの相談が持ち込まれました。
「和歌山県の鞆淵(ともぶち)というところで黒豆を作っている。ついてはそれで醤油を造れないだろうか?」というものでした。
聞けば鞆淵の黒豆は、有名な丹波産のものと品質がほぼ変わらぬと高い評価を受けているとのこと。地域への貢献、フードマイレージをも考えてこの話を受けてくれないかということでした。
このお話にカネイワ醤油本店は即答で「了承」の返事を出しました。
今までお世話になってきたこの和歌山という土地に少しでも何か返せるのではと考えたからです。

小麦も和歌山産

小麦しかし、豆だけでは醤油は造れません。醤油のためのもう一つの大切な素材、それは小麦です。
良質の小麦、それがないと醤油は造れません。いつもカネイワ醤油本店で使用している小麦を使っても良かったのですが、様々な方たちと相談し、和歌山県の県庁の皆様のご協力も得られるとの事でしたので、ここはひとつ小麦も和歌山県内で探してみようということになりました。
皆様のご協力で和歌山県内四方八方を探し回った結果、一つ面白い小麦が見つかりました。その小麦というのは農機具や農業製品を生産している和歌山県のとある会社が持っている農業試験場で栽培されている小麦でした。その小麦は原種に近いもので、農薬は一切使用していない栽培方法で作られていました。

塩も一部和歌山産

大豆、麦がそろえばあとは塩、和歌山は海が豊かな土地です。
きっと良質の塩が見つかるはず、ということで探しはじめました。

塩はすぐに見つかりました。しかもとても良質なものでした。しかし、ここで問題が発生しました。
それはコストでした。その塩のコストはカネイワ醤油本店が使用している国内でもかなり良質な塩と比較しても50倍の価格でした・・・・・。
これはさすがにつらい、というのが感想でした。仕方がないので何割かをその塩を使い、残りの部分をカネイワ醤油本店が普段使っている塩を使うことにしました。

醤油の仕込

醤油の新しい樽平成20年、仕込のための準備が始まりました。
黒豆と小麦の量が少なめだったため、新たに一つの小さめの樽を用意しました。

いつもの大きな樽の横にその樽を新たに増設し、樽を混ぜるための足場を組み、設置しました。小さめといっても人と比較した場合その大きさはかなりのものです。

設置の工事はすべてカネイワ醤油本店のスタッフで行いました。


黒豆醤油の麹そして秋、いよいよ黒豆醤油の仕込が始まりました。 黒豆を蒸し、小麦を炒って、種麹と混ぜ合わせて麹の花を咲かせます。
その作業は丸3日間ほとんど寝ないで行われました。
黒豆で醤油を造るのはカネイワ醤油本店としても初めての試みです。
それだけにいつもよりも余計に神経をとがらせ気を使いながらの作業となりました。
そうして出来たのが左の写真の麹です。

平成二十二年に黒豆醤油が完成

いま、麹は諸味になり、醤油になる日をじっと待っています。
醤油になるのは平成22年の秋の予定です。
その日その時をカネイワ醤油本店はスタッフ一同楽しみにしています。

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